農業ビジネスで豪州に海外進出したい人が知っておくべきQLD州政府の日本人上席商務官

オーストラリアは言わずと知れた農業大国だ。

国土面積の約55%(4億2,500万ヘクタール)が農用地となっており、その広さは米国よりも広く、実に日本の約90倍の広さだという。

ところが、その農用地の約90%は牛や羊など放牧となっている。
これがオーストラリアの名産品といえば「オージービーフ」といわれるゆえんだろう。

しかし、オーストラリアに最も稼ぎを生み出している農産物は実は小麦である。

例えば、讃岐うどんの原材料の多くが豪州産の小麦とブレンドされている。
豪州産小麦は讃岐うどんに必要な弾力性と歯ごたえをもたらしてくれるからだ。
しかも国産小麦よりも価格は安い。

ちなみに豪州における輸出上位5品目は以下の通り。

オーストラリアの農産物輸出上位5品目 

輸出 (単位:百万ドル、%)

品目名 輸出額 シェア
小麦
6,765
18.0
牛肉(骨なし)
4,707
12.5
綿花
2,720
7.2
羊毛
2,395
6.4
ワイン
1,957
5.2
総額
37,673
100.0

そんな中、日本では農産物の海外依存度が毎年、右肩上がりとなっている。
日本国の農産物輸入額は過去50年で約10倍となった。

これは、食生活の多様化によってさまざまな食材へのニーズが高いことと、日本の家畜飼料などを輸入に頼らざるを得ない状況などから、世界各地の農産物の需要が日本国内でずっと高いままだからだといわれている。

では、日本はどのような国から農産物を輸入しているのかというのが下のグラフだ。
日本の主要農産物輸入の国別割合
資料:農林水産省

オーストラリアは金額ベースで米国、中国についで3番目となっている。

もちろん、米国、中国の壁は高いが2015年1月15 日に発効された日豪経済連携協定(JAEPA)によって、食品・飲料商品の大半が関税の即時撤廃または段階的な削減の恩恵を受けている。

つまり、オーストラリアは今、農業ビジネスにおいて注目の的となっているのだ。

オーストラリアで農業ビジネスを開拓したいと思っている日本企業は個人事業主も含めかなりの数がいることだろう。

しかし、ネックになるのはいつも「英語」と海外の「商習慣」だ。
せっかくビジネスアイデアや貿易価値の高い産物を持っていても、この言語と慣習の壁によって諦めてしまう人が巨万といる。

そこで、今回はオーストラリアの農業ビジネスに興味のある人向けに、豪州で食品関連のビジネスをするならぜひ知ってほしい、この人物を紹介する。

9年ぶりに再開した対日ブロッコリー輸出、米国独占市場に風穴

対日ブロッコリー輸出
9年ぶりに輸出が再開さ入れた豪州産ブロッコリー(写真提供:高嶋大士氏)

クイーンズランド州政府は6月2日、昨年9年ぶりに開始されたブロッコリーの対日輸出の状況をメディアリリースで発表した。

これによれば、初年度試験的であったにもかかわらず、ダーリン・ダウンズ地区に約100万ドル(約8000万円)の売り上げと25職種の雇用増加をもたらした。さらに、このブロッコリー対日輸出を皮切りに、2015年のクイーンズランド州農産物輸出総額が94億ドル(約7500億、昨年比17%増)に成長したことも明かした。

また、この成功をもとに、今後もキャベツやレタス、セロリといったQLD州が誇る野菜の輸出拡大を模索していくという。

クイーンズランド州はオーストラリア国内で最も農産物の生産高が高い州であり、世界各地に輸出先を持っている。

その中でも日本は3番目に巨大な市場であり、重要な輸出先となっている。

もちろん、アスパラガスならばVIC州など各州によって名産は異なるが、農業大国オーストラリアの中でもさらに農業に強い州がクイーンズランドというわけだ。

そのため、農業ビジネスで豪州に海外進出してみたいと思う企業があれば、まずはクイーンズランド州への視察をお勧めする。

9年ぶりに輸出再開を実現させたQLD州政府の日本人商務官

さて、9年ぶりに再開された対日ブロッコリー輸出がなぜ州政府のメディアリリースに載るまで着目されたかといえば、

日本国が輸入している外国産ブロッコリーの9割がアメリカ産だからだ。

この米国独占市場に風穴を開けた人物がQLD州政府にいる。

高嶋大士 上席商務官だ。

QLD州政府上席商務官・高嶋大士氏

そこで、高嶋氏に今回の対日ブロッコリー輸出再開およびクイーンズランド州との日豪食品貿易について話を聞いてみた。


Q なぜ8年間も止まっていたブロッコリーの輸出が再開できたのでしょうか?


A ブロッコリーの再輸出が実現したのにはいくつかの理由があります。

第一の要因として、これまで豪州産のブロッコリーは高品質ではありましたが、その分、価格も高かった。
しかし、 近年の外貨変動で円高/ドル安になり、他国から輸入するブロッコリーと比べて価格差が小さくなりました。

次に、日本の大手生鮮輸入会社大手(株式会社ユニオン)がアメリカ以外にオーストラリアにも着目していただき、アメリカ産と商品スペックを変えて差別化してくれたことも大きかったと思います。
日本に出回るブロッコリーの多くはアメリカ産ですが、オーストラリア産も含めていくことで商品のオプションが増えました。

そして、昨年に日豪経済連携協定が発効され、多くの農産物の関税が0になったことも大きな要因でしょう。

最後に. オーストラリアの農協団体「Horticulture Innovation Australia」が日本向けブロッコリーに数年前から調査してきたことが結実したのも大きな要因です。

このことから、対日ブロッコリー輸出の話が始まり、業界の方にヒアリングおよびオーストラリア産のブロッコリーをPRしたところ、ユニオン社とのつながりが生まれ、再開できるように至りました。


Q 対日ブロッコリー輸出を実現するにあたり、苦労した点は?


A 苦労したことは、オーストラリアの生産者を輸出のマインドに持っていくことでした。

どうしても生産者は国内の値段を見ており、輸出しても利益は国内に卸すより利益が少なくなると考える人が多いのです。
しかし、ブロッコリーであろうと他の生鮮食品であろうと、ちゃんとコストを計算してあげれば、海外に売っても利益が出る計算はできます。

国内での価格はどうしても市場の影響をダイレクトに受け、上下に激しく変動します。
加えて、国内の場合はスーパーがセールをするたびに、市場の値段が下がって損をしてでも出荷しなければいけないという時期もあります。

そういう面では、輸出も値段や為替の変動リスクはありますが、シーズン中に値段を決めて契約できれば、生産者にとっては安定した利益につなげることも可能です。そうすれば、生産者は安心して野菜を作れますよね。


Q オーストラリアの農作物にはたくさんのメリットがあると思いますが、なぜあまり日本で売られていないのですか?


A オーストラリア産のブロッコリーのメリットは、コストが高くても、色、茎の太さ、味は他のブロッコリーよりも良質だと言えます。

確かに、人件費がアメリカの方が安くオーストラリアの最低賃金が$17以上となっているので、コストについてはアメリカには正直、勝てません。

でも、その分、品質に優れているのがオーストラリア産だということも言えます。

また、クイーンズランド州は土壌が非常に豊かで、農作物が育ちやすいので農薬もあまり使われない傾向にあります。

そのため、ともすれば日本国産の野菜よりも安全であるということが言えます。

今年は去年よりも出荷量が伸びると見込んでおり、関東だけではなく関西にも入っております。

最近はブロッコリー以外にもオーストラリアの野菜が少しずつ日本に入ってきています。

玉ねぎをはじめ、リーキ、芽キャベツなどのほか、果物ではオーストラリア産のグレープが急増していて、多くのスーパーで豪州産ぶどうを見かけるようになりました。


Q 例えば、日本の民間企業が豪州に進出したい場合、QLD州政府に直接相談できたりするのでしょうか?


A 私の仕事はオーストラリア、クイーンズランド州の企業をサポートすることであり、それと同時に日本の企業のお客様で何かお探しのものがあれば喜んでサポートいたします。

食品に関しては私が担当なので直接ご相談を承ります。

それに日本の企業や個人様には物販だけでなく、海外進出を考えている際にもさまざまなサポートを含め、弊州の私にとりあえずご連絡いただければと思います。

オーストラリアは日本から見ると、どうしてもオージービーフというイメージばかりが先行しますが、

ぜひ、野菜だけでなく加工食品なども仕入れてもらえるように努力したいと思っています。


このように、州政府と聞くと敷居が高いと思われがちだが、高嶋氏のセクションの場合、直接問い合わせができるようだ。
なお、高嶋氏はオーストラリア・クイーンズランド州政府の駐日事務所を拠点にしているので、東京に滞在していることも多い。
そのため、実際に会って話すことも可能だ。

以下に、高嶋氏の許可を受けて、電話番号を掲載しておくので、
豪州の食品ビジネスに興味がある人は相談してみてはいかがだろうか?


【連絡先】
オーストラリア クィーンズランド州政府 駐日事務所
食品担当:高嶋
Tel: 03-6841-0407


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