海外移住関連記事:日本と豪州は「うつ病になりにくい国」なのかを診断する

クイーンズランド大学の発表による「うつ病の世界普及レベル」は正しい診断なのか

日本は毎年年間の自殺者が3万人近くに上る「自殺大国」で、15~34歳の若者層の自殺率はイギリスの4倍といわれている。しかし、クイーンズランド大学の科学者が11月13日に発表した世界の「うつ病の普及レベル」によれば、日本はうつ病と診断される患者が人口に対して約2%弱という世界で最も楽観的な国だという。

以下の写真がそのデータだが、

うつ病普及レベルをあらわす世界地図
青いほど人々は楽観的であり、赤いほど人々は悲観的であると色分けされたうつ病世界地図

同様に、楽観的な国として、紹介されているのが「オーストラリア」で、こちらもまた、世界トップレベルでうつ病と診断された患者が少ないということだ。

もともとの記事はRecord Chinaによる記事で、ヤフージャパンでも紹介され、少々、話題となったのだが、チェックすべき項目がどうやら多そうだ。

うつ病は世界的に見ても非常にかかりやすい精神病の1つであり、世界人口の4%がうつ病と診断されている(WHO)。その中で、世界トップレベルの自殺者数という状況の日本がうつ病普及レベルが低いというのは、にわかに信じがたい。

オーストラリアは若者のうつ病が深刻、日本では40歳以上が危険という事実

そこで調べてみると、さきほどのデータは、おそらく偏向した調査結果の可能性があることがすぐに分かった。
1つには、厚生労働省によれば、

厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成20年には104.1万人と12年間で2.4倍に増加しました。「患者調査」は、医療機関に受診している患者数の統計データですが、うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており、実際にはこれより多くの患者がいることが推測されます。

となっている。

つまり、日本は「うつ病」という病名はなんとも世間的に耳障りの良くない言葉であるため、病院に行かない(または行けない)うつ病患者が実際にはごまんといるということが明らかだ。

同時に、うつ病と深く関係する自殺だが、自殺者の7割が40歳以上で、年齢が高くなるほどのその割合が増えている。

そのため、急速に高度な高齢化社会へと向かっている日本において、うつ病の普及(この言葉も少しおかしいが)は2%弱なってことはあり得ないと考えるのが普通だ。

一方、オーストラリアの場合もこの数字はおかしい。

ゴールドコーストのビーチ
こんな環境で精神を病むことがあるのかというほどの大自然

なにせ豪州を代表するうつ病や不安障害の人を支援している非営利独立法人「ビヨンドブルー」の発表では、オーストラリアの300万人がうつ病・不安障害を抱えていると発表しており、オーストラリアの全人口は2330万人であるから、その割合は13%となり、世界でもトップレベルのうつ病大国ということになる。

クイーンズランド大学は日本においてもオーストラリアにおいても、なんらかの表層的な数字だけを取り上げて普及レベルを算出した可能性が高いといえるのではないか。

また、オーストラリアではその半数以上が若年層(16歳~24歳)で占められており、若者のうつ病対策が社会問題化しているほどで、決して、うつ病に対して楽観的な社会とはいえないのだ。

そして、これらのデータから、明らかな日本とオーストラリアの対称性が表れる。

つまり、日本では、若い内は刺激があって生きがいがあるのだろうが、年を追うごとに生きにくくなる国。

そして、オーストラリアは若いうちは生きにくいが(要するに若者にとってはつまらない国)、年齢を重ねると過ごしやすいと感じる国ということである。

 

オーストラリア移住で覚えておきたい「メディケア制度」

さて、そもそも、こうした医療データの信憑性は眉唾ものだと考えるほうがよい。

そこで、うつ病を危惧する人やすでにうつ病だと診断されている人が海外移住を計画した場合に、日本とオーストラリアのどちらに住む方が良いのかを考えるならば、「医療保険制度」をチェックしてみよう。

日本がTPP合意によって壊れるのではないかと危惧されている「国民皆保険制度」。

オーストラリアの場合も「国民皆保険」に近い制度となっているが、豪州の場合は、医療保険制度ではなく、税財源によるメディケア(Medicare)制度により医療費の一部を負担し、さらに高度な医療サービスを求める人が民間保険を活用している。

豪州に移住したら必ず加入するメディケア
豪州に移住したら必ず加入するメディケア

日本の国民健康保険制度では3割負担となっているが、豪州のメディケア制度の場合は以下のようになっている。これらは、オーストラリア市民・永住権者に適用されるので覚えておきたい。また、メディケア制度は当然、うつ病などの精神病にかかわってくるが、多くのメンタルヘルスは外来となる。

●外来の場合:医療費として政府の定める診療報酬表にある規定料金の85%がメディケア給付として支給され、残り15%が自己負担
※1回の診療につき、57.50豪ドルが自己負担の上限

●一般開業医(GP)による診療に係る医療費については100%メディケア給付(自己負担はゼロ)

●公立病院に入院の場合:医療費、病院費用(ベッド代、看護料)などの入院に係るすべての費用が公費により負担(自己負担はゼロ)
※公立病院でも患者が自ら指名した医師から診療を受ける場合、医療費の25%が自己負担かる、病院費
用は給付の対象とならない。

このように比較してみると、日本よりもオーストラリアのほうが「国民皆保険」という点では優れているように感じる。

ただし、医療技術については日本と同等かと言われれば疑問視されるところもあるため、医療制度すべてが日本よりも優れているとはいえないだろう。

いずれにしても、オーストラリアに移住したら、真っ先に行うことがメディケアへの加入なので、覚えておいてもらいたい。

メディケアの申請

 

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