オーストラリアの歯医者は本当に高額なのか?
オーストラリアでは歯医者は保険でカバーするのが常識
「オーストラリアの歯科治療代は異常に高い!」というのは、オーストラリアに住んだことのある人なら誰もが抱く感想だ。
なにせ、歯科治療は日本の国民健康保険に相当する「メディケア(Medicare)」の適用外であるため、プライベート保険に入っていない人は10割負担となるからだ。
ところが、このプライベート保険というのは歯科治療を含んだパッケージは安いものでもおよそ月100ドル程度かかる。しかも、基本掛け捨てだ。
そして、多くの保険が55~85%までしかカバーされないので、プライベート保険に入っても全額免除されるわけではない。
さて、実際にオーストラリアで歯医者にかかると治療費はいくらくらいかかるのか?
以下の写真は、筆者の息子が歯医者にかかった際の治療費の領収書だ。
なんと乳歯の小さな虫歯2本で約400ドル(約40,000円)!
というわけで、オーストラリアの歯医者は高すぎる!わけだが、果たして本当にこの治療費は“ぼったくり”なのだろうか?
実は、高すぎると言われるオーストラリアの歯科治療費を日本のものと比べてみると、そうでもないことが分かった。
というのも、日本の保険点数では「基本診療料+特掲診療料+加算」で費用が決まるわけだが、例えば、上記の写真の程度の治療の場合、日本では通常「金銀パラジウム合金インレー」という詰め物を使う。
いわゆる「銀歯」と呼ばれる被せ物だ。
この場合は、国民健康保険に入っていない、10割負担の海外移住者の場合でも8000円くらいで治療できる。
しかし、オーストラリアでは、この銀歯の被せという治療自体が存在しない。
オーストラリアの歯科医では、それもよりもワンランク高い「セラミックインレー」というものが使われている。
日本ではこの「セラミックインレー」は保険診療として認められていないため、3万円~8万円ほどかかるのだ。
2歳から17歳までは毎年1000ドルまでのボーナスを全国民に支給
とはいえ、日本では国民健康保険というものがあるのだから、治療は3割負担で済むではないかという意見も多いだろう。
ところが、国民健康保険は実はそんなに安いものではない。
国民健康保険は年収によって毎月支払う金額が人によって異なるが、例えば、夫42歳、妻38歳、子供10歳の3人家族で、夫が自営業で前年の所得金額が350万円、妻は専業主婦で収入がないという場合、都道府県によっても金額は異なるが、国民健康保険の月額は以下の写真にもあるように、月額5万円もかかるというのが現状なのだ(ただし、40歳以上は介護保険料も含む)。
参照:http://keiei.freee.co.jp/2015/10/14/kokuminkennkouhokenryou/
しかも、治療費は3割分は自腹で負担だ。
そんな中、オーストラリアは2014年1月から、Child Dental Benefits Schedule(児童歯科診療給付金制度)をスタートさせた。
この制度は、児童たちの歯の健康を維持することを目的に、基本的な歯科治療と診療については、子供1人当たり1000ドルまで政府が支払ってくれるという福祉制度だ。
こちらはメディケアに登録している世帯を対象としているため、永住権または市民権を持つ人が対象となる。
日本の制度に置き換えれば、国民健康保険に入っていれば、年間10万円分まで歯科治療は無料で受けられる、ということだ。
これはありがたい制度だろう。
また、大人の場合を考えても、例えばルートキャナル(根管治療)の治療は、オーストラリアの場合だと2500ドルほどもかかってしまうが、短期間で治療が済むのに対し、日本ではその約半額でできるものの治療が終了するには約2週間~1ヶ月かかる場合も多いという。
このように考えると、オーストラリアの歯科治療費はべらぼうに高いとは言えないどころか、むしろ、一般的に歯医者にかかることだけを考えれば、実質上、オーストラリアでは無償で歯科治療を受けることができるといえるだろう。
つまり、3割負担の日本の方が歯科治療代は高くつくということが言える。
また、一時帰国の際には、歯科治療に充てる時間がないという人も多いことだろう。
海外に永住している人は国民健康保険がない人もいるので一時帰国の際には、ブランパ銀座のような短期で終えられる歯科医にいくことが大切だ。
日本の平均的な年収であれば無償で治療を受けられる
とはいえ、ちょっと歯を治療しただけで、数万円もの金額を請求されるのでは、、、と感じるのも仕方ないところ。
しかも、歯科治療の給付金は16歳以下の子供に限られる。
では、大人の場合はどうか。
大人の場合は、とりあえずプライベート保険に加入することをオススメするが、「低所得者」の場合は、プライベート保険に入らなくても無料で歯科治療を受けられる場合がある。
それが、「ヘルスカード」制度だ。
オーストラリアでは低所得者向けの福祉制度もあり、例えば、低所得者や年金受給者にはヘルスケアカードと呼ばれる、概ね基本的な治療が無償で受けられるカードが配布されている。
このヘルスカードがあれば、歯科治療やその他の医療機関の基本的な診察は無料で受けられる(QLD州の場合)。
「低所得者」だけかよ!と思われるかもしれないが、この「低所得者」の定義は日本とはずいぶん異なる。
低所得者の基準は、例えば、子供が1人の家族の場合は、世帯年収が約5万ドル以下の場合は、ヘルスカードを受けられる。
年収5万ドルといえば、およそ500万円だ。
つまり、日本の平均的なサラリーマンの世帯は全員、「ヘルスカード」を持つことができるのだ。
ヘルスケアカードを取得するための収入条件
Status | 週給 | 年収概算(53週として) |
---|---|---|
独身、子供なし | $531 | $28,143 |
夫婦、子供なし | $919 | $48,707 |
独身、子供が1人 | $919 | $48,707 |
上記に各子供1人つきプラス | $34 | $1,802 |
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このように、オーストラリアでは何かと物価が高いので、何でもかんでも高いと思われがちだが、世帯年収に合わせて福祉制度が細かく設定されるなど、福祉については先進国でもトップレベルの制度を誇っている。
もし、オーストラリアで永住権を取得したなら、医療制度についても詳しく調べてみることをオススメする。
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