帰国留学生が就活の前に知っておきたい語学力と年収の関係
2016年卒採用から就活は超短期決戦に
政府や経団連の要請により、エントリー開始が3月1日以降、採用選考開始が8月1日以降と後ろ倒しとなり、選考期間がわずか2か月ほどという超短期決戦となった2016年卒の就職活動(就活)。
この変更は、オーストラリアに留学している日本人学生にとってもかなり大きな影響があるとみられている。
オーストラリアの大学は通常12月が卒業時期となるため、これまでのスケジュールは以下のようなスムーズさがあった。
1.卒業前年の11月中旬から2月初旬ごろ:長期夏季休暇を使ってエントリー
2.卒業年の7月ごろ:冬期休暇を使って就活(面接~内定)
3.12月の卒業と同時に帰国
4.翌年4月に入社
または、卒業後、現地の日系企業で働いたり就活をしながら現地で1年間ほど生活してから翌年4月の入社に合わせて帰国する「ギャップイヤー」というスタイルも可能だった。
オーストラリアに留学中の学生はスケジュールに注意
ところが、今年から始まった超短期決戦の就活では、「本番」が短いため、就活をスタートしてからあれこれと迷っている暇はない。
そのため、事前準備が非常に重要となるため、スケジュールは以下のようなスタイルの人が増えると予測される。
1.12月に卒業
2.帰国し、企業・業界研究、インターンシップ参加などをじっくり行う
3.3月から国内大学生と同じようにエントリー
4.8月から選考・試験
もちろん、海外大学生向け採用スケジュールを設けている会社もあるが、いずれにしてもスケジュール調整が難しくなったのは言うまでもない。
そして、選考期間が2か月となったこの変更は、学生にとっては内定までの期間が短いというメリットがあるとともに、企業としては優秀な学生に対して早々に内定を出さないといけなくなるため、「より優秀な学生」がより有利となる。
語学力が高いほど年収は増えるという事実が判明
とはいえ、「優秀さ」と一口に言っても、リーダーシップや企画力など、その能力基準は会社によってさまざまだ。では、留学生の場合には「語学力」が1つの「優秀さ」とならないのだろうか?
巷では、「英語だけできてもダメ」「留学生は日本の企業の価値観にマッチしない」などと言われたりもするが、こうした疑問を払拭できる調査がこのほど発表された。
バイリンガルのための転職・求人情報サイト「Daijob.com」 を運営するダイジョブ・グローバルリクルーティング株式会社は1月、語学力と年収の関係を調査し、その結果、英語力によって年収額の差が出ることが判明したという。
男女ともに、40代以降の年収の差は大きくなるが、特に女性にその傾向は顕著で、50歳代では英語ができる人とできない人の年収差は約3倍と大きな差が出ることが判った。
また、転職の際の想定年収を業種別で見ても、ほぼすべての業種において、英語がビジネスレベル以上の求職者は、求人の最低年収を上回っていることから、転職の際も、一般の転職者よりも高い年収の仕事に就ける可能性が高いことが分かる。
この調査から言えることは、単純に「英語力は日本の企業での就職に十分な武器となる」ということだ。
もちろん、英語さえできれば就職に有利というわけではなく、現地で何を学び、その会社でその経験をどのように活かすことができるのかということを明確にしておくことも重要だろう。
また、自身の希望がその企業とマッチするか、その仕事に適しているかなど、就職活動を成功させる上で考えなくてはいけないことは山ほどある。
しかし、2016年卒採用から選考が非常に短くなるということを考えれば、英語力という非常に分かりやすい能力を中心線に置いて、自己分析ができる留学生は、一般の学生よりもスムーズに就活を進めることができると言えるだろう。
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