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体罰のある学校とない学校を豪・英・米で比較してみて分かったこと

文科省が昨年末に発表した調査によると、2014年度に「体罰」を理由に懲戒や訓告などの処分を受けた公立学校の教員は952人で、前年度より約3000人も減ったという。

このように日本でも体罰禁止への意識は高まっているが、日本は海外に比べるとまだまだ体罰禁止に対する法の整備などが遅れていると言われている。

では、海外移住や子供の留学を考えている親御さんは、子供が海外の学校に行けば日本よりも体罰への不安は軽減されるのだろうか?

答えは「否」である。

確かに多くの先進国では体罰は禁止されている。特にヨーロッパでは結構厳しいようだ。

しかし、それは主に「家庭内」でのこと。学校では学校におけるルールがあるため、必ずしも自分の子供が教師から体罰を受けないという保障はないのが現状だ。

そこで今回は、学校での体罰事情について、イギリス、アメリカ、オーストラリアにおける概要をお伝えする。

今後、主に小学生~中学生の期間に海外留学を目指しているお子さんを持つ親御さんにとっては気になる学校での体罰。

果たして、どこの国が体罰の少ない国なのだろうか?

体罰は教育上有用という英国

 

イギリスやアメリカの映画などでは時々、子供が教師にお尻を叩かれたり、鞭で打たれたりする場面を見ることがある。

これは昔ながらのイギリスの教育方法に体罰が取り入れられてきたからだ。

そんなイギリスもかつては、「体罰禁止」を法制化したことがある。

1986年、イギリス政府は公立学校における「体罰禁止法案」を可決した。また、2000年までにイングランド、ウェールズ、スコットランドの私立学校でも体罰が禁止となった。

また、1998年には家庭内で体罰を禁止となったが、これにより学校の規律を守らない子供たちが増えたとして、2001年、クリスチャン系の私立高校の教師や保護者らが最高裁に対し「体罰復活」の訴えを起こした。

この裁判の影響から、2006年イギリス政府は教育法を改定。規律を乱す学生に対して、教師が懲戒できる権利を保障する内容を付け加えた。
ただし、お尻を叩くのは6回までなどの細かな規定があるなど、これらの細かな規定は主にキリスト教の教えと関連しているという。

体罰が法規制されていない州が19もある米国

体罰を容認する米国

体罰に対して厳しい目を注ぐヨーロッパに対し、アメリカが意外と体罰を容認している国であるということはあまり知られていない。

最近の調査報告では2011~12年の1年間でフィジカル的な体罰を受けた児童は16万7000人にもおよぶというにわかに信じられない数字が報告されている。

そして、さらに驚くのは、法的に教師が児童に体罰(physically discipline)を行うことを容認(条件付きだが)している州がなんと19州もあるということだ。

米国の学校で体罰が容認されている州は以下の通り:

フロリダ州、ジョージア州、アラバマ州、ミシシッピ州、アーカンソー州、ルイジアナ州、アリゾナ州、コロラド州、ワイオミング州、アイオワ州、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州、インディアナ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ケンタッキー州、テネシー州

主に南部の州が多いこととなり、中でも、ジョージア州、アラバマ州、ミシシッピ州、アーカンソー州、テキサス州は体罰事件の約70%を占めるという。

いわゆる日本人が多く住んでいる州は体罰は少ないようだが、以下のグラフを見ると、欧米では、学校でも家庭でも体罰を禁止している(緑色)国が多いのに対し、アメリカでは学校、家庭ともに体罰を禁止していない(赤色)の州が多いのが分かる。

体罰の欧米比較

州や学校によってまちまちの対応となる豪州

オーストラリアの学校の体罰事情

イギリスの教育制度の流れをくむオーストラリアもかつては体罰容認国だったが、イギリス同様1980年代後半から体罰禁止の気運が高まり、法整備が進んだ。

また、アメリカと同じく州によって体罰への法制度が異なるのが特徴。ただし、おおむねどの州も体罰は禁止としているが、主に公立学校は厳格に規定されているが、私立高校においては一部、体罰を容認しているところもある。

ただし、暴力的な体罰と違って、活動に参加させないタイムアウトやランニングといった非暴力の懲罰があるところが多いという。

そして、上記のグラフからもわかるように、体罰に対して厳格に罰しているのがシドニーとメルボルンのNSW州とVIC州だ。

一方、私立校などの非政府機関の学校においては、いまだに体罰を容認しているというのがQLD州だ。

とはいえ、オーストラリアでは児童保護フレームワーク(2009-2020)という枠組みが設けられ、州政府および連邦政府が子供の人権と安全を守る取り組みが強化されている。

これにより、児童の安全を守る風潮はこれまで以上に高くなってきているのが実情だ。

さて、日本の学校と比べてみてどうだろうか? 日本もまだまだ体罰禁止への取り組みが少ないといわれているが、先進国である英国や米国でもあまり変わらない状況といえるのではないだろうか?

そういう意味では、まずは家庭内での体罰を減らしていくことが社会での暴力を減らす最大に要因となりえるだろう。


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