創造力のある日本の生徒はたったの8%?
コンピュータ・ソフトウェア会社大手アドビ・システムズ社は6月29日、教職員向けに開催している教育フォーラム「2017 Adobe Education Forum」において、日本の生徒と教師を対象とした、学習、クリエイティビティ、将来の仕事についての認識に関する調査結果「Gen Z in the Classroom: Creating the Future(教室でのZ世代:未来を作る)」を発表した。
調査によれば、日本のいわゆるZ世代(12歳から18歳まで)の中で、自身を「創造的」と捉えていたのはわずか8%。アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツの平均44%に比べて著しく低い結果となった。
また、日本のZ世代はグローバルの同世代と比較した場合、「将来何かを作る仕事をしている」と考える割合は日本は43%っだったの対し、グローバル平均78%と低く、さらには「創造性が求められる仕事や職業はたくさんある」と考えている生徒はわずか31%(グローバル平均76%)とこちらも著しく低い割合を示した。
教師へのアンケートでは日本の現状の学習方法が読み書き中心の座学であり、カリキュラムがそこまで追いついていないという意見が目立った。
このようにアドビ社のこれらの調査結果は日本の創造性を育む教育の遅れを露呈する結果となった。
豪州の教育カリキュラムに見る「創造力」の重要性
親世代にとっては、現代教育における創造力(Creativity)の重要性はかなりの共通認識として知られている。
人材派遣業大手のアデコ社が、上場企業に勤務する40代から50代の管理職(部長職・課長職)309人を対象に、「AI(人工知能)時代に求められるスキル・能力」について調査したところ、AI(人工知能)時代にビジネスで重要な能力は「対人関係力」と「創造力」がトップに挙げられた。
これは何も日本位限ったことではなく、先進国では共通の認識と言える。
オーストラリアでは2008年にオーストラリア・カリキュラム評価報告機構(ACARA)を設立し、「汎用的能力」の向上を目指してきた。
「汎用的能力」とはリテラシー、ニューメラシー(数学的基礎知識)、ICT技能、批判的・創造的思考力、倫理的行動、異文化理解、個人的・社会的能力の七つの能力が含まれる。これらはいずれも現代社会を生き抜くために必要不可欠な知識、スキル、態度と認識されている。
特に、批判的・創造的思考力(critical and creative thinking)については、いわゆる問題解決能力とも深く結びついているため、重要な能力の1つとして捉えられているようだ。
そして、この批判的・創造的思考力は座学では身につけることが難しい能力の一つでもある。
では、どのようにして、この批判的・創造的思考力を身につければよいのか?
マインクラフトで創造力は伸ばせるのか?
そんな中、2009年の発売以来、創造力を伸ばすのに一役買っているというのが「マインクラフト」というサンドボックスゲームだ。
マインクラフトは小学生を中心に人気の高い「ものづくりゲーム」で、2009年の発売以来、世界での累計販売が計1億2200万本以上を売り上げている。
人気の秘密は、ブロックを地面や空中に配置し、自由な形の建造物などを創造していくところ。「デジタル・レゴ」とも呼ばれ、往年の人気玩具、レゴに似たものづくり的な要素が人気の的となっている。
また、草原、森、砂漠、雪原などのバイオームが存在するほか、洞窟や廃坑、渓谷などの奥行きのある地形や昼夜の時間的概念を含んでいるところが子どもたちの「つくる意欲」を掻き立ててくれる。
さらに、MODというプログラミングを使って自分だけの世界を構築することも可能だ。
マインクラフトのプログラミングではLuaというコンピュータ言語のほか、Java、RubyとPythonといったメジャーな言語についても学習できる点が特徴となっている。
では、マインクラフトがなぜ創造力を伸ばすのに良いのか。
オーストラリア、クイーンズランド工科大学創造産業学部のマイケル・デズアニー准教授は「マインクラフトは数学、デザイン、芸術、地理学の分野で学生の創造力を伸ばす可能性がある」として、あらゆる教育者に薦めている。
デズアニー准教授はまた、マインクラフトが従来の教育方法ではなかなか芽が出なかった生徒への学習支援として一役買っているとも話している。
「(マインクラフトの調査を通じて)教師たちが最もエキサイトしたことの1つは、伝統的な授業では成功しなかった生徒がマインクラフトの授業を通じて、突如としてクラスのヒーローになるなど」
マインクラフトは北欧ではICT技能を伸ばすための必修カリキュラムとして導入している国もあるほど。
2020年に教育大改革によってプログラミング
タブレットやスマートフォン、プレイステーションなどあらゆるプラットフォームで遊べる点もうれしい。
Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.