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授業の約50%を日本語のみで行うブリスベン郊外の公立小学校が話題に

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全授業の半分が日本語!? QLD州の公立小学校のユニークプログラム

オーストラリア・クイーンズランド州の公立学校でこのほど、全授業の半分を日本語のみで教えるという、世界でも珍しい外国語プログラムがスタートし、話題となっている。

その学校とは、ブリスベン郊外にあるウェラーズヒル州立学校。算数や社会といった通常の授業を外国語で行う「イマージョン・プログラム」と呼ばれるプログラムの一環で、同校では2014年1月からイヤー1(小学1年生に相当)で日本語によるカリキュラムをスタートさせた。現在、学年全体125人の生徒のうち、6割にあたる76人が日本語によるイマージョン・プログラムで学んでいる。

このカリキュラムでは、2人の日本人教師が担当しており、授業内容はもとより、挨拶や指導、私語にいたるまで英語を一切話さず、日本語だけで行うという徹底ぶりだ。

このユニークなカリキュラムは、地元紙や全国紙で紹介されたほか日本のTBSでもニュースとして取り上げられ話題となった。

オーストラリアの小学校では全国統一基準によるカリキュラムが遂行されているが、外国語(LOTEプログラム)については、どの言語を教えるかは、校長の裁量によって異なっているので、学校選びのポイントの一つとも言われている。
クイーンズランド州内の学校では、主に日本語、ドイツ語、フランス語、中国語、インドネシア語、イタリア語などが人気となっている。

犬塚先生
日本語の先生として活躍している犬塚先生(左)

 

日本語カリキュラムの秘密を校長に直撃

確かにオーストラリアと日本は互いに貿易主要国であり、外交においても友好関係にあるが、「日本語」は学習人口的に考えても、中国語などに比べてマイナーなはずだ。では、なぜウェラーズヒル州立学校では、このような日本語重視のプログラムを実践しているのか。

ウェブスター校長
ウェブスター校長

同校のジョン・ウェブスター校長に話を聞いてみた。

Q:なぜ日本語イマージョンプログラムを始めたのですか?

A:我が校はかねてより、日本語のLOTEプログラムにおいて強みを持っていました。また、島根県安来市と交換留学プログラムを2003年よりスタートさせており、年に2回、本校の生徒が安来市の学校に留学しています。さらに、2004年からは安来市からの生徒さんや大人の方が本校に留学するようになり、交換留学のプログラムが実現しました。

この交換留学に尽力していただいた、ナカサさん、イワサキさん、ハラさんたちのおかげで、日本との交換留学が浸透し、日本語や日本文化への理解が深まりました。外国語イマージョン・プログラムは他校では別の言語を選ぶ学校もありますが、こうした経緯により本校では日本語を強化するにいたりました。

Q: 外国語教育を取り入れる利点は何ですか?

A:外国語を学ぶに当たっては幼児期が重要で、幼少期から学ぶことで脳の発達に良いことがわかっています。

二ヶ国語を学ぶことで脳の神経路が発達するのと同時に、最近の研究では、幼児期より二ヶ国語で勉強するることで、成長するとともに自国語の理解も深められということがわかってきました。

さらに、バイリンガルの人は単言語話者よりも、老年期における認知症の発症率が低いという調査報告もあり、幼少期からのバイリンガル教育はとても有効だと考えています。

Q: 外国語教育は学校の裁量で決められるのですか?

クイーンズランド教育省が我が校の日本語教育カリキュラムについて全面的にバックアップしてくれました。しかしながら、同時に私たちはクイーンズランド州および全豪統一基準のカリキュラム(日本でいう文科省の学習指導要綱)に従わなければいけません。

当然、生徒は全方位的に学習する必要がありますから、これは重要な問題でもありました。そこで、我が校では、「教育の質の向上」を州政府および保護者の方に約束し、日本語で授業を行うことでのデメリットをなくすと宣言しました。これは私たちにとっても、生徒にとっても大いなるチャレンジですが、随時モニタリングしながら子どもの成長を見守っていく所存です。

 

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