過去に例のない半額セールの応酬
オーストラリアで「スーパーマーケット」と言えば、上の写真の通り、赤いロゴでおなじみの「Coles(コールズ)」とグリーンのロゴで知られる「Woolworths(ウールワース)」だ。
営業利益では、ウールワースが小売業1位に君臨し、2位のコールズが追うという構図になっている。
そして、このウールワースvsコールズはこれまでにも幾たびの闘いを繰り広げてきたが、2014年は過去に例のないような「激闘」となっているようだ。
特に、豪州の建国記念日とも言うべき「オーストラリア・デー(1月26日)」に向けたプロモーション合戦で両者は、火に油を注いだように燃え上がり、1月30日現在、過去に例のない「半額セール合戦」をいまだに繰り広げている。
ウールワースはオーストラリア・デーに向けて、オーストラリアの“国民食”ともいえるBBQ用のソーセージ(24本入り)を半額で販売し、1週間で1300万本を売り上げた。
一方のコールズは、「Down! Down! 」のキャッチフレーズの下、「いつでも安い」をモチーフに、平日でも「半額特化セール」を続行している。
そもそも、この半額セールはコールズのお家芸だった。
2012年ごろまでのテレビCMなどを振り返ると、「安さのコールズ」、「新鮮さのウールワース」という明確なキャラ分けが成り立っていたが、2014年に入り、小売業1位のウールワースがこの激安戦争にあえて参画してきた。
これは一体どういうことなのか?
ウールワースとコールズの評価に愕然
オーストラリアの小売業界は、日本の小売業界とは異なり「寡占状態」といえる。日本の場合、イオンやイトーヨーカ堂といった全国規模のチェーン店のほかに、「成城石井」や「スーパー玉出」など、地域独自のスーパーマーケットが幅を利かせている。
しかし、オーストラリアでスーパーマーケットのチェーン店と言えば、幼児でも数えられるほどで、ウールワース(Woolworths -ASX: WOW)、コールズ(Wesfarmers – ASX: WES)という2巨頭に加え、そのほかの上場企業と言えば、IGA(Metcash -ASX: MTS)、コストコ、アルディ(ともに Coca-Cola Amatil’s -ASX :CCL)の5社だけだ。
そして、ウールワースとコールズは豪州国内における店舗数や店舗規模などで圧倒的で、これまではずっと2強の時代が続いていた。
しかし、2013年になって、世界最大の調査会社「ニールセン」が、この2強時代を揺るがす衝撃の調査結果を発表した。その調査とは、この5大小売業者に商品を卸しているサプライヤー(卸業者や農家などの供給元)へのアンケート調査のことだ。
その中で、「最優秀小売業者」という項目では、なんと64%供給元が「アルディ」を挙げ、最大手のウールワースはわずか7%の支持率しかなかったのだ。また、「関係性が良い」という項目では、アルディ73%、コールズ57%、ウールワース9%と、ウールワースはとにかくサプライヤーからの評判がすこぶる悪いことが露呈した。さらに、「ビジネスにおける専門性の高さ」という項目でも、アルディが1位で86%、コールズ56%、ウールワース36%という結果だ。
これらの結果から、プロの目から見ると、「アルディ」がもっとも評価の高いスーパーマーケットであることが分かる。また、日本でもおなじみの会員制倉庫型ディスカウント・チェーン「コストコ」もオーストラリアに進出して5年が経ち、徐々にではあるがシェアを拡大中で、IGAも独自の戦略で顧客獲得に成功している。
このように、もはや2巨頭の時代は崩れつつある(ただし、この調査結果は供給元の評価であり、消費者の評価ではないという点は念頭に入れておくべきだ)。
この調査結果が発表されたのは2013年の11月。また、コールズは2014年に創業100周年を迎え、1年を通じてオーストラリア国民への還元を目指すとしている。
ウールワースとしては、こうした状況の中から、消費者離れを防ぐために「半額セール」に踏み切ったというのが本音だろう。
つまり、ウーリーは「追い詰められた王者」なのだ。
ウールワースとコールズを徹底比較
とはいえ、アルディの店舗数はコールズやウーリーの半分程度。消費者の大きなムーブメントが起きない限り、ウールワースとコールズの2強時代は変わらないだろう。
そこで、この2大スーパーマーケットを改めて比較してみた。特に、サービス面での違いが大きく現れたので、これからは価格よりもサービス面を重視して、どちらを「マイ・スーパー」にするべきかを考えてみてはいかがだろうか?
ウールワースとコールズの比較表
※データは2014年1月31日現在、すべてQueennslandの一部都市での条件比較
※スマートフォンの場合は横位置にしてご覧ください。
ウールワース facebook.com/woolworths | コールズ facebook.com/coles | |
店舗数 | 872 | 741(BI-LOを含む) |
Facebookファン | 590,223人 | 655,188人 |
特売商品数 | 3054商品 ベーカリー:66商品 | 1667商品 ベーカリー:44商品 |
半額セール対象商品数 ※当日のみ、期間は各店舗によって異なる | 196商品 | 10商品 |
ポイントカード | Everyday rewards ●提携店舗: BIG W、BWS、Cellarmastersの計4ブランド ※Qantas Frequent Flyerへのマイルチャージ有り | Flybuys ●提携店舗: Kmart、Target、National Australia Bankなど計22ブランド |
デリバリーサービス ※オンラインショッピングのみ | 有り 【特徴】注文後、いつごろ配達が届く予定かを知らせるトラック機能あり Track My Order | 有り 【特徴】毎週水曜日に100ドル以上購入すると、配達料金が無料になるキャンペーンを実施中。 通常の配達はこちら |
返品などのカスタマーケアの分かりやすさ | ホームページのトップページに明記。 Fresh or Free Guarantee | 不明。ホームページ上には「リコール商品情報」を掲載。 |
オーストラリアのスーパーではエコバッグは必須アイテムです!
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